ハイフ(HIFU)とは、高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)の略称で、もともとがんを治療するために開発された技術です。
高密度の超音波を皮膚の特定の部位にピンポイントに照射し、標的組織に60から100度の熱を与えます。その結果、しわやたるみの解消効果が期待できます。
このハイフを用いることで、ほうれい線の改善効果が期待できると聞いたことがある人もいるでしょう。実際に、ほうれい線に悩む方は多く、解消法に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ハイフでほうれい線を解消できるのかを紹介します。
ほうれい線が発生する原因・気になる効果・メリットについても詳しく解説するので、参考にしてください。
ほうれい線解消に効くハイフ
ほうれい線は、くっきりと現れる程実年齢が上に見えてしまいます。そのようなほうれい線の解消には、ハイフの効果が見込めるといわれています。
ハイフは、高密度の超音波を照射することで、肌の奥にあるSMAS筋膜までアプローチできる仕組みです。
SMAS筋膜は、皮膚を支えるうえで非常に重要な役割を持ちます。通常は、頬の脂肪を支えており、たるまないようにしています。
しかし、衰えると次第に脂肪を支えられなくなりたるみが生じ、その結果ほうれい線となってしまうのです。
ハイフは、高密度の超音波でSMAS筋膜などを刺激し引き締めることで、たるみ改善の効果が期待できます。また、ハイフにはコラーゲンの生成を促進する効果も見込めます。
このような作用から、ハイフはほうれい線の解消に期待できるといわれているのです。
ほうれい線の原因
ほうれい線にハイフの効果が期待できると紹介しました。しかし、施術を受ける前に、ほうれい線が発生する原因についても知ることが大切です。
詳しい原因がわかれば、施術の効果もより詳しく把握できるでしょう。ここでは、ほうれい線が発生する原因を紹介します。
コラーゲン不足
ほうれい線が発生する原因の1つが、コラーゲン不足です。コラーゲンは、人間の皮膚・粘膜・骨などを構成するタンパク質です。
そして、このコラーゲンは皮膚のなかでも、真皮と呼ばれる部位に多いと考えられています。通常真皮層のコラーゲンは、肌のハリや弾力を保つ機能を持っています。
しかし、コラーゲンは外的な要因や年齢とともに、徐々に減ってしまうのです。減少していくと、徐々に肌のハリや弾力を保てなくなります。
その結果、しわができたりほうれい線が深く濃くなったりするのです。
顔のたるみ
顔のたるみもほうれい線が発生する原因に挙げられます。筋肉は年齢とともに衰えます。これは顔にもいえることであり、頬の筋肉が衰えると、顔の皮膚がたるんでくるのです。
皮膚がたるんで徐々に頬の脂肪が重力で垂れ下がってくると、頬の脂肪の下部分にたるみが生じ、その結果ほうれい線のしわが濃くなってしまいます。
頬の筋肉を普段から鍛えているのであれば、顔がたるむようなことも少ないためほうれい線もできにくいと考えられるでしょう。
しかし、加齢とともに筋肉は衰えてしまうため、たるみが増えてほうれい線が深くなってしまいます。
頬の脂肪
頬の脂肪も、ほうれい線が発生する原因に大きく関わります。
先述したように、加齢に伴って頬の筋肉が衰えて、頬の脂肪を支えられなくなるケースもほうれい線が発生する原因です。
しかし、年齢を重ねていなくてもほうれい線ができることはあります。その理由は、頬の脂肪が多い場合です。
脂肪が多い場合は、若い方でもほうれい線が目立ちやすくなる可能性があります。頬の脂肪が多いと、外側へと大きく迫り出してしまいます。
迫り出した脂肪は、顎の付近にしわを作る原因となり、それがほうれい線へとつながってしまうのです。
頬の脂肪が多い方はこのような状態を引き起こす可能性が高く、時間とともにほうれい線が深く刻まれてしまうケースがあります。
特に笑ったときにほうれい線が濃くなりやすいため、自身でもどの原因によってほうれい線が生じているのかを確認してみましょう。
ハイフはほうれい線にどのような効果が期待できる?
ハイフはほうれい線にどのような効果が期待できるのでしょうか。これから施術をしてみたいと考えている方の多くが、期待できる効果の内容に興味があるでしょう。
ここでは、具体的な効果を紹介します。
コラーゲンの増加
ほうれい線に期待できる効果の1つが、コラーゲンの増加です。ハイフは、高密度の超音波を皮膚に照射する方法です。
高い熱エネルギーを照射するため、この熱による刺激でコラーゲンの生成が活発になります。
コラーゲンの量が増えれば、肌の潤い・ハリ・弾力なども向上するため、ほうれい線解消につながる可能性があるのです。
効果を大きく感じられる時期は、施術からコラーゲンが再生される2〜3ヵ月後です。
リフトアップ効果
期待できる効果としては、リフトアップ効果も挙げられます。先述したように、ハイフの施術により超音波をSMAS筋膜に照射すると、筋膜を収縮させる作用が期待できます。
SMAS層は皮膚を支える役割を果たしているため、SMAS筋膜をハイフの施術によって引き締めることでリフトアップ効果が望めるのです。
美肌効果
ハイフには、美肌効果が期待できます。高密度の熱エネルギーを照射するハイフは、コラーゲンだけでなくエラスチンと呼ばれる美肌成分の生成促進効果も見込めます。
エラスチンとは、コラーゲン同様に肌の弾力やハリを形成するのに重要な成分です。
ハイフの施術でエラスチンの生成を促す効果が期待できるため、美肌効果も期待できます。
脂肪分解に伴う小顔効果
さらに、ハイフの期待できる効果として、脂肪分解に伴う小顔効果も挙げられます。高密度の熱エネルギーを照射するハイフにより、脂肪細胞が分解されるのです。
この分解された脂肪細胞は、老廃物として体外へ排出されます。照射された部位の脂肪が少なくなることで、小顔効果が期待できる仕組みです。
ほうれい線解消におけるハイフの3つのメリット
ほうれい線解消におけるハイフに期待できる効果を紹介しましたが、ハイフならではのメリットが多い点も特徴です。
ここでは、ほうれい線解消におけるハイフの3つのメリットを紹介します。
痛みが少ない
まず、痛みが少ない点がハイフのメリットのひとつです。ハイフは、施術中も施術後も痛みが少ないとされています。
稀にちくちくと刺さるような痛みを感じる場合もありますが、それほど強い痛みではないでしょう。また、熱を感じることもあります。
施術後の痛みに関しても腫れや赤みが一時的に発生する程度なので、痛みが少ない点は大きなメリットです。
施術直後のメイクが可能
ハイフは施術直後のメイクが可能な点もメリットに挙げられます。ハイフは表面的な皮膚や施術した部位周辺にダメージを与えることなく施術が可能です。
そのため、メスを使ったほかの施術方法などと比べるとダウンタイムが短く、施術直後にメイクをして帰宅できる場合もあるでしょう。
1回の施術時間が短い
ハイフのメリットとしては、1回の施術時間が短い点も挙げられます。
顔全体の場合、部位や範囲により異なりますが、麻酔の時間を含めおおよそ90分~120分なので短時間での施術が可能です。また、施術後は数分でメイクができる場合もあります。
施術時間の短さから、忙しい方でも施術を受けやすい点は大きなメリットといえるでしょう。
ほうれい線解消におけるハイフの注意点
ほうれい線解消におけるハイフには、メリットだけでなく次のような注意点もあります。
- 紫外線による影響を受けやすい
- 熱傷の可能性がある
- 神経に当たることによる神経損傷もある
- 施術を受けられない場合がある
注意点の1つが紫外線による影響を受けやすい点です。施術後は、一時的に肌の水分不足を引き起こしており、肌が乾燥しやすい状態です。
そのため、紫外線によるダメージを受けやすい状態となっています。施術後は日焼け止めローション・日傘・帽子・サングラスなどで保湿と日焼け対策を行いましょう。
熱傷の可能性がある点にも注意が必要です。ハイフは、高密度の超音波を照射する仕組み上、稀に熱傷をおこす可能性があります。
これは、超音波を照射するためのハンドピースが浮いた状態で、適切に施術が行われなかったときに起こりやすいです。
また、超音波が骨に反射して発生するマイクロバブルによって、水ぶくれを引き起こしてしまう症例もあります。
施術に際して、技術力が低いためにこのような症状を引き起こす可能性があるため、確かな技術力がある信頼できるクリニックを選ぶことが重要です。
このほかに、超音波を照射することで発生する熱が神経に当たることによる神経損傷もあります。しびれや麻痺などの症状が出る可能性があります。
時間とともに神経の細胞も回復するので症状としては一時的です。しかし、あまりにも症状が続く場合は施術を受けたクリニックに相談しましょう。
施術が受けられない場合があることも注意点に挙げられます。主に次のような方には施術できないケースがあります。
- 体調が悪い方
- 敏感肌の方
- アトピーやケロイド体質の方
- 妊娠中の方
- 授乳中の方
- ペースメーカーを使用中の方
- 肝臓・腎臓に重篤な疾患のある方
- 静脈炎・血栓・血管の疾患の方
- ほかの美容医療を受けたばかりの方
上記の体質や状態の方は、施術を行うことで状態を悪化させる可能性があるため、施術を受けられない可能性があるでしょう。
自身が施術を受けられるかどうかは、体質なども相談のうえで、事前にしっかりと確認しましょう。
自身が施術を受けられるかどうかや、施術の注意点などで不安な場合には、クリニックに相談ください。
一般的なほうれい線解消に伴うハイフ施術の費用は、50,000〜600,000円(税込)程度です。
この費用の幅は、使用する機器や部分的な施術が可能かどうかの違いがあります。クリニックによっては、施術に用いる機器が異なるため、施術費用にも違いが出ます。
また、ほうれい線のみを照射するなど部位別のプランが組まれているケースや、顔全体の施術で費用が組まれている場合もあるため費用の幅が広いです。
未承認医療機器であるダブロやダブロゴールドを使用したハイフ施術を行っております。
ダブロやダブロゴールドは、韓国のHIRONIC社製の医療機器であり、韓国のMFDS(食品医薬品安全処)の認可を受けています。
国内においては、同一の承認されている医療機器はありません。そのため、医師の判断のもとダブロとダブロゴールドを個人輸入しているクリニックもあります。
個人輸入の注意点につきましては、厚生労働省の「リスクが潜む個人輸入健康被害」のページを参照ください。
また、ハイフは自由診療であり保険適用外です。施術費用が不安という方は少なくありません。もし少しでも費用や施術内容に不安を感じる場合には、施術を行うクリニックに相談してください。
まとめ
ハイフは、しわやたるみ解消だけでなく、ほうれい線の解消の効果が期待できる施術です。
短時間での施術が可能である点や痛みが少ない点など、ほかの施術ではないメリットも多いです。しかし、注意点もいくつかあるため、十分に把握しておきましょう。
紫外線の影響を受けやすい点や、施術ができないケースについては、理解しておく必要があります。
紫外線の影響で施術後に肌トラブルを引き起こす可能性があるだけでなく、施術を無理に進めた結果体調に悪影響を与える可能性もあるためです。
自身にもハイフを行ってよいかや施術費用なども含めて、不明な点や不安な点がある場合は、クリニックに相談ください。
丁寧なカウンセリングをもとに悩みを解決したうえで、安心して施術に進んでいただけるでしょう。
ハイフは、ほうれい線解消の効果が期待できる施術です。ほうれい線だけでなく、美肌効果や脂肪分解に伴う小顔効果も見込めます。
自身の顔をリフトアップできて、見た目の印象もより一層若々しくなる効果が期待できるでしょう。
肌への負担や痛みなども少ないため、施術直後からメイクをして帰宅できる場合もあります。しかし、自分の体質に合っているかなどをきちんと確認して施術を受けることが重要です。
施術の内容について詳しく聞きたい場合や、不安な点を相談したい場合には、クリニックにて相談されることをおすすめします。
参考文献